今回の滞在先は、クランにある「ウィンダム・アクマー・クラン」。ホテル周辺のレストランにも足を運び、本場のバクテーや中華料理、近くのイオン内でタイ料理を楽しみました。
2026年10月、マレーシアで食べたものの中で、日本に帰ってからも「あれ、家で作れないかな」と思い出す料理があります。
肉骨茶(バクティー)です。今回は、発祥の地として知られるクランで本場の味をいただきました。
漢方を思わせる香りと、肉のうまみが溶け込んだスープ。ひと口飲んだとき、体にじんわり沁みるような味でした。

肉骨茶(バクティー)発祥の地として知られるクラン
クランは、マレーシアのセランゴール州にある港町です。肉骨茶は、豚の骨付き肉などをニンニクや薬草、香辛料と煮込んだ料理。
クランでどのように広まったのかを調べると、港で働いていた中国系移民の暮らしに行き着きました。
マレーシア知的財産公社の資料に載っている一説では、港の労働者が持ち寄った薬草を、クランで豚骨の煮込みを売っていたリー・ブン・テーがスープに使ったのが始まりとされています。
資料によると、リーは1945年にクラン駅の近くに屋台を出したそうです。
港で働く人たちが食べていたという話を知ると、私が混み合う店内で囲んだあの鍋も、クランの暮らしの中で長く親しまれてきた味なのだなあと感じます。
参考:マレーシア知的財産公社「Klang Bak Kut Teh」地理的表示の公報
訪れたのは『Teluk Pulai Bak Kut Teh』スープとドライ、私はスープ派でした
私がクランで訪れたお店では、スープタイプとドライタイプの両方をいただきました。
スープの鍋には肉のほかに、葉野菜やきのこも。薬膳を思わせる風味に、肉のだしのコクが重なります。脂は思ったよりしっかり感じましたが、それでもまたひと口飲みたくなる味でした。
ドライタイプは、濃い色のたれが肉に絡んでいて、白いご飯によく合います。どちらもおいしかったのですが、私なら次もスープを頼みます。家で作れたら、きのこと葉野菜をもう少し足して、あのだしをたっぷり味わいたいです。
スープは後から注ぎ足してもらうこともできます。


ドライタイプは味が濃くてご飯がすすみます。
どうしてこんなに小さいの? 何度もお茶を注いだ湯呑み
私が行ったとき、店内は大混雑。円卓には鍋やご飯、揚げパン、小皿が並び、その間に金属のポットと白い湯呑みがありました。
この湯呑みが、とーっても小さいんです。お茶を注いでも、飲んだらすぐになくなって、また注ぐ。食事の間に何度ポットを手に取ったことか。なぜあのサイズなのか、今も気になっています。鍋の味と一緒に、あの小さな湯呑みまでよく覚えています。


クランで食べた中華料理。街の食堂と熱々の魚
バクテー以外にも、クランでは中華料理がおいしかったです。青い看板に「Tiger」のロゴが入った團圓(Da Tuan Yuan)では、鶏料理や焼き物が大皿で並びました。看板に「Tiger」のロゴが入っているのでタイガービアがあるのかと思いましたが、ありませんでした。
「こちらの人は舌が肥えていて、おいしくないお店は長く続かないよ」と聞いたのが印象に残っています。私が滞在中に入った街のお店にも、手頃な値段でおいしく食べられるところが多いと感じました。


宿泊したウィンダム・アクマー・クランの中華レストラン「Royale Toh Yuen」では、特に魚料理が好きでした。

魚が一尾、大皿にのって出てきて、よく見ると皿の下には火が。みんなで取り分けている間も熱々のまま食べられるんです。
魚そのもののおいしさはもちろん、最後まで温かく食べられる出し方も印象に残りました。

車窓とスーパーで見えた、マレーシアの日常
車で移動していると、「走っている車がきれいだなあ」と思いました。
マレーシアの車や日本車、ベンツやBMW。

シンガポールを思い出すような幅の広い高速道路を走っていて、車窓には高層マンションも、昔からありそうな簡素な家も見えました。
同じ移動の途中で、景色がずいぶん変わるのが印象的でした。
現地に住む方によると、訪問時はヘイズと呼ばれる大気汚染が深刻な時期だったそうです。
滞在中は空が厚い雲に覆われ、日差しが弱く、思っていたほど暑さを感じませんでした。
ヘイズの影響かはわかりませんが、滞在中は目がゴロゴロするような違和感が続きました。
東京海上の看板やセブン‐イレブンを見かけ、スーパーではトップバリュも発見。
見慣れた名前に親近感が湧く一方、手に取って表示を見た商品には中国製のものが多く、鶏肉売り場では部位が細かく分かれていることにも目が留まりました。
値段を見て「物価が安いなあ」と感じた場面もありましたが、私が面白かったのは、普段の買い物の棚に日本との違いが見えたことです。
22時過ぎにも 普通に子どもがイオン内にいました。
甘いテ・タレを飲みながら、普段の食事を考えた
泡立ったミルクティーは、マレーシアで親しまれている「テ・タレ(Teh Tarik)」です。
現地の方に教えていただいたのですが、二つの大きな容器の間で、高い位置から低い位置へと繰り返し注ぐことで、表面にあの泡が生まれるそうです。練乳のコクがあり、ひと口飲むと、その甘さに驚きました。
旅先で味わう一杯として記憶に残りました。

ホテル近くのイオンで、タイ料理の鍋を楽しむ
別の日に食べたタイ料理の鍋もおいしかったです。
トムヤムクン風のお鍋にしました。
辛いつけだれが食欲をそそります。

バクテーは、脂のコクが薬膳の香りと重なり、ついもうひと口とスープに手が伸びる味でした。
旅の途中で「こういう食事を日常的に楽しむなら、どんな選択肢があるといいんだろう」と考えました。
帰ってから調べると、マレーシアの2023年の全国健康調査では、成人の32.6%が過体重、21.8%が肥満と報告されていました。
さらに、糖尿病の割合は成人の15.6%。およそ6人に1人という数字に、身近な健康課題であることを感じました。
この割合には、それまで糖尿病と知らず、調査の血液検査で高血糖が見つかった人も含まれています。
食事に加えて、普段どれくらい体を動かせるかなど、暮らし方も関わる話です。
例えば、あの薬膳の香りはそのままに野菜を多めにしたスープや、甘さを選べるテ・タレ。
普段の外食と同じくらい手頃で、食べたいと思える味なら、私も自然と手に取りそうです。
バクテーや中華料理のお店では、円卓を囲んで大皿の料理を取り分けました。
クランの旅を振り返ると、料理のおいしさとともに、みんなで囲んだ食卓が思い出されます。


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